ChatGPTやGeminiなど、AIの回答で自社がどう紹介されるかを調べる企業が増えています。一方で、「どんな質問文で調べればよいかわからない」「調べるたびに結果が違って比べられない」「質問文を変えたら数字が動いて理由がつかめない」という声もよく聞きます。本記事では、AI引用調査のプロンプト(AIに投げる質問文)の4分類、作り方と書き方のルール、質問数と実行回数の決め方、結果の記録方法を解説します。
- AI引用調査でプロンプトが重要な理由
- 調べる質問文の4分類と見たいこと
- 顧客の言葉で書く質問文の作り方とルール
- 質問数と実行回数の決め方
- 結果の記録方法と、最初の4問の選び方
AI引用調査でプロンプトが重要な理由
質問文の書き方しだいで、同じ自社でも調査結果が大きく変わるからです。AI引用調査とは、決めた質問をAIに投げ、回答の中で自社の名前やURLが言及・引用されるかを調べる作業で、プロンプトの設計が調査全体の精度を左右します。
背景には、AIの回答が質問のたびに生成される性質があります。Google 検索セントラルの「AI features and your website」(2025年12月10日更新、2026年10月9日閲覧)によれば、AI Overview(日本語の画面では「AI による概要」)とAIモードは異なるモデルや技術を使う場合があり、表示される回答やリンクの集合は変わります。出典が述べるのは2つの機能の違いですが、AIの回答は同じ質問でも変わりうるため、質問文を揃えておくと月ごとの比較が成り立ちます。
当社では、月次でChatGPT・Gemini・Perplexityなどに実際に質問し、引用状況を記録しています。質問文を毎月変えると、数字の変化が自社の変化によるものか質問の違いによるものかを切り分けられません。同じ質問文で重ねて記録することが、運用の前提です。
本記事は、自社ブランドの引用状況を調べる質問文に絞って解説します。業務で使うプロンプトの書き方は「プロンプトエンジニアリング基礎|ビジネス活用で押さえたい実践コツ」に、引用率の指標の置き方は「AI引用率の計測方法とKPI設計|担当者のための5つの視点【2026年版】」に譲ります。調査の質は結果の読み方より前に、質問文の設計で決まると考えて準備することをおすすめします。
AI引用調査で使う質問文の4分類
顧客の検討段階に合わせて、比較検討・課題解決・指名・定義理解の4つに分けると整理しやすいでしょう。分類ごとに見たいことが違うため、1つの質問だけで自社の状況を判断するのは避けましょう。
| 分類 | 質問の型 | 例の構造 | 見たいこと |
|---|---|---|---|
| 比較検討 | 選択肢と選び方を尋ねる | 「〇〇向けの△△を比較したい。選び方と主な選択肢は?」 | 候補として自社が挙がるか、どの文脈で挙がるか |
| 課題解決 | 困りごとの解決方法を尋ねる | 「〇〇で困っている。どう解決すればよいか」 | 解決策の説明に自社の情報が使われているか |
| 指名 | 自社名を入れて尋ねる | 「(社名)とはどんな会社か。強みと提供サービスは?」 | 自社が正しく説明されているか |
| 定義理解 | 用語や仕組みを尋ねる | 「〇〇とは何か。仕組みと始め方は?」 | 説明の引用元に自社コンテンツが入っているか |

当社は、全記事にFAQを5問設け、会話形式クエリ向けの見出しを加えました。比較検討や課題解決の質問文も、この会話形式クエリを手がかりに作れます。質問の背景にある検索意図の捉え方は「検索意図別のコンテンツ設計とは|AEO時代における書き分け方を解説」が詳しく、調査結果を受けて文章を直す際は「ChatGPTに引用される方法|コンテンツの作り方と5つの文章の型」や「Geminiに引用されるコンテンツとは|LLMO対策の実践法を解説」も手がかりです。
初回の調査では、自社の売上に近い領域から4分類すべてに質問を用意するのが現実的です。分類を欠いたまま調べると、自社が弱い段階が見えにくいため、4分類をそろえて始めるのが安全です。
AEO調査プロンプトの作り方と書き方のルール
押さえたいルールは、顧客の言葉で書く、1質問1論点にする、業種と条件を明記する、自社名を入れすぎない、の4つです。短く曖昧な質問ほど、回答が一般論に流れて自社の状況を測りにくくなります。
| ルール | 書き方 | 見直したい例 |
|---|---|---|
| 顧客の言葉で書く | 問い合わせ内容や商談メモに出てくる言い回しを使う | 社内の専門用語や自社の製品名で尋ねる |
| 1質問1論点 | 比較と手順を別の質問に分ける | 「違いと選び方と費用を教えて」と1文に詰め込む |
| 業種と条件を明記 | 業種・規模・目的を1文に含める | 「おすすめを教えて」だけで尋ねる |
| 自社名を入れすぎない | 自社名は指名の質問だけに使う | 比較検討の質問に自社名を入れて誘導する |
当社は、代表が100社以上のデジタルマーケティング支援に携わってきました。その現場で顧客が使う言葉は社内の言い回しと異なることが多く、質問文は顧客の言葉で書くことが調査の出発点です。当社では、Search Consoleのクエリデータを月次で確認し、記事の切り口を決めています。実際の検索語は、質問文の候補を考える手がかりにもなります。
書き方の例を挙げます。「おすすめのサービスを教えて」では回答が一般論に流れます。「従業員100人規模のBtoB企業で、展示会後のリード管理を効率化するサービスの選び方を教えて」のように業種・規模・目的を含めると、実際の検討場面に近い回答を得られます。
質問文には、「比較1」「指名2」のように分類名と連番の管理用IDを付けておくと、後の記録と比較が楽です。当社でも、自社サイトのコンテンツ記事を120本以上公開・運用しており、新規記事の企画時には公開済み全記事とタイトル・見出し・メインKWを突き合わせています。記事が増えるほど、どの質問にどの記事が答えるかを質問単位で整理しておく価値が高まります。
質問文の数と実行回数の決め方
合計12〜20問を4分類に振り分け、1つの質問を3回程度、顧客が使う2〜3種類のAIで実行する形から始めます。これは公式に定められた基準ではなく、AIの回答が変動する前提で、負担と傾向の見えやすさを両立させるための実務上の目安です。
| 項目 | 目安 | 決め方の考え方 |
|---|---|---|
| 質問数 | 分類ごとに3〜5問(合計12〜20問) | 売上に近い領域から選び、増やすのは運用が回ってから |
| 実行回数 | 1つの質問につき3回程度 | 1回の結果で判断せず、同じ条件で重ねて傾向を見る |
| 対象のAI | ChatGPT・Gemini・Perplexityなどから2〜3種類 | 自社の顧客が実際に使うものを優先する |
| 実施頻度 | 月次 | 毎日の数字には反応せず、月単位の傾向で見る |
負担が大きくなった段階で、取得を自動化するツールを検討します。ツールの機能の分け方は「AEOツールとは|できること・機能の種類・導入前の基礎知識を整理【2026年版】」に、質問文を固定して運用する際の考え方は「AI検索モニタリングツール導入の注意点|導入前に決めておく5つのこと」にまとめました。質問文の固定と見直しの運用ルールは、実行回数を決める段階で一緒に決めておくことをおすすめします。
AI引用調査の結果の記録方法と比較のしかた
質問文・取得日・自社の言及状況を、1回ごとに表へ残します。回答の文章を丸ごと保存するだけでは比較しにくいため、見る項目をあらかじめ決めた表にそろえるのが基本です。
| 記録する項目 | 記録の内容 | 残す理由 |
|---|---|---|
| 取得日 | 質問を実行した日付 | 月ごとの比較と、AI側の更新時期との照合に使う |
| AIの名称とモード | ChatGPT、Gemini、Perplexityなど | AIごとに結果を分けて比べる |
| 質問IDと実行回 | 「比較1」の2回目、など | 質問文の変更履歴と回答の変動を追う |
| 自社の言及・引用 | 社名の言及の有無、自社URLの引用の有無 | 言及と引用を分けて数える |
| 挙がった企業・情報源 | 回答に出た他の企業名や引用元の種類 | 自社が置かれた文脈を把握する |

比較は、分類別に「言及された回数÷実行回数」を月ごとに並べて行います。質問文を変えた場合は別の系列として扱い、変更前の数字とは直接比べません。流入側の数字を合わせて見る場合は、「AI検索からの流入をGA4で確認する方法|AIチャネルの見方と注意点を解説」も役立ちます。
当社はAIMention(AI検索での自社ブランドの引用・言及を計測するSaaS)の運営元でもあります。ツールに移す場合でも、手作業で質問文の型と記録の項目を固めてから設定すれば、設定で迷いません。調査の設計から改善施策までまとめて相談したい場合は、AEO/LLMO対策の内容もご覧ください。
質問文の設計で見直したい5つの点
複数回の傾向で見る、自社名で誘導しない、4分類をそろえる、質問文を固定する、取得日とAIを記録する、の5つです。いずれも質問文を作る段階で決めておけば、調査のやり直しを減らせます。
| 見直したい点 | 起きやすいこと | 決めておくこと |
|---|---|---|
| 複数回の傾向で見る | 1回の回答で、引用された、挙がらなかったと見え方が揺れる | 同じ質問を複数回実行し、傾向で見る |
| 自社名で誘導しない | 比較検討でも自社が挙がり、実態より良く見える | 自社名は指名の質問だけに使う |
| 4分類をそろえる | 弱い検討段階が調査に出てこない | 4分類ごとに質問を作る |
| 質問文を固定する | 数字の変化の理由を切り分けにくくなる | 固定し、変更は日付つきで記録する |
| 取得日とAIを記録する | 前回と同じ条件で比べられているか見えにくい | 取得日・AI・質問IDを毎回残す |
日々の施策の進め方は、「AEO対策のやり方とは?自社で今日から始める7つのチェック項目【2026年版】」で確認できます。調査は施策の効果を測る手段のため、質問文を固定して回し始めることを優先しましょう。
最初の4問をどう選ぶか
最初の一歩は、売上に近い1領域に絞り、4分類×1問の計4問を質問シートに書き出すことです。12問をそろえるのは、この4問を一度回してからで間に合います。
作業は3つです。まず直近の問い合わせメールや商談メモから、顧客が使っていた言い回しを3つほど拾います。次にスプレッドシートを1枚用意し、質問ID・分類・質問文・取得日・AIの名称・言及・引用の列を作ります。最後に、顧客が最もよく使いそうなAIを1つ選び、4問を同じ日に3回ずつ実行して記録します。
準備は1〜2時間、実行と記録は1時間ほどあれば一通り進められます。成果物は、固定した4問の質問シートと、記録済みの初回結果です。初回の目的は結果の良し悪しを判断することではなく、翌月も同じ条件で測れる基準点をつくることです。翌月は同じ4問を同じ手順で回し、数字が動いたかどうかを見るところから比較が始まります。
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よくある質問
Q AI引用調査のプロンプトはどう作りますか?
比較検討・課題解決・指名・定義理解の4分類ごとに、顧客が実際に使う言葉で1質問1論点の質問文を作ります。業種・規模・目的を含め、分類名と連番の質問IDを付けて固定します。初回は合計12〜20問が目安です。
Q AEO対策ではどのプロンプト(質問文)から調査すればよいですか?
売上に近い領域の比較検討と課題解決の質問から始め、指名と定義理解を加えた4分類で揃えるのが現実的です。弱い検討段階を見落とさないために、最初から分類を欠かさないことをおすすめします。質問の捉え方は「検索意図別のコンテンツ設計とは|AEO時代における書き分け方を解説」も参考になります。
Q 自社がAIに引用されているか調べる質問文の例は?
「〇〇向けの△△を比較したい。選び方と主な選択肢は?」が比較検討の例、「(社名)とはどんな会社か。強みと提供サービスは?」が指名の例です。〇〇には業種や規模、目的を入れ、自社名は指名の質問だけに使います。
Q AI引用調査のプロンプトは何回実行すればよいですか?
AIの回答は同じ質問でも変わるため、1つの質問につき3回程度を目安に実行し、傾向で見ます。公式に定められた回数ではなく実務上の目安です。ばらつきと運用ルールは「AI検索モニタリングツール導入の注意点|導入前に決めておく5つのこと」で解説しています。
Q AI引用調査の質問設計や記録を外部に相談できますか?
質問文の設計、記録の型づくり、調査結果を受けた改善施策まで、外部の視点で整理したい場合は相談できます。社内で手を回しにくい場合は、質問文の作成部分だけを依頼する形もあります。AI引用調査については、当社へのご相談もご検討ください。