Web上で来場者と出会えるオンライン展示会は、BtoBの集客手段のひとつとして選択肢に挙がる場面が増えました。一方で、「BtoBでオンライン展示会は本当に商談につながるのか」「リアル展示会やウェビナーと何が違うのか」「費用対効果をどう見ればよいのか」という声もよく聞きます。本記事では、オンライン展示会の形式と種類、リアル展示会との違い、使い分けの判断基準、出展準備から接触後のフォロー、費用対効果の見方を解説します。

この記事でわかること
  • オンライン展示会の形式と、ウェビナーとの違い
  • リアル展示会との違いを4つの軸で比べる
  • 4つの質問でできる、リアルとオンラインの使い分け
  • 出展準備の5項目と、接触後のフォローの進め方
  • 商談化数を軸にした費用対効果の見方

オンライン展示会とは?BtoBで使われる形式と種類

Web上に設けた展示会場に企業が出展し、来場者が場所を問わず製品情報の閲覧や商談を行える展示会のことです。BtoBでは、製品資料や動画の公開に、チャットやオンライン商談の予約を組み合わせた形式が多く見られます。

形式 概要 特徴
主催者開催型 主催者が用意したオンライン会場に、複数社が出展する 主催者の集客を活用できる。出展ページの形式は主催者の仕様に従う
自社開催型 自社でオンライン展示会場を構築し、見込み顧客を招待する 設計の自由度が高い。集客はすべて自社で行う
リアル併催型 リアル展示会の会期にあわせて、オンラインでも展示や配信を行う 会場に来られない人にも届く。運営が二重になりやすい

形式や機能は主催者や提供プラットフォームによって違います。閲覧データの取得範囲や商談機能の有無は、出展前に公式の案内で調べておくと、準備の手戻りが少なくなります。商品の掲載とオンライン商談を組み合わせた公的な例として、ジェトロ(日本貿易振興機構)の「ジェトロ招待バイヤー専用オンラインカタログ “Japan Street”」(2026年10月11日閲覧)があります。同ページによれば、日本企業が商品情報と画像を登録すると、ジェトロが招待した海外バイヤーが閲覧でき、バイヤーの依頼を受けて、ジェトロがファシリテーターを手配するオンライン商談につながる仕組みです。

ウェビナーとの違いは、来場者の動き方です。ウェビナーは主催者が決めたテーマを決まった時間に届ける「講演」で、参加者は主に聞く形式です。オンライン展示会は、来場者が出展企業を自分で選び、資料や動画を見て回る「売り場」です。ウェビナーは伝える場、オンライン展示会は見つけてもらう場と整理すると、どちらを先に検討するかが決まります。ウェビナーの企画と運営は、ウェビナー運営の実践ガイドとは|企画から集客までの実践5ステップが詳しいです。

オンライン展示会とリアル展示会(オフライン展示会)の違い

接点の深さ、来場者の範囲、得られる情報、準備の中身の4点に差が出ます。リアル展示会(オフライン展示会)は対面で深く話せる場、オンライン展示会は場所を問わず広く接点を持ち、行動の記録を残せる場です。

比較の軸 リアル展示会 オンライン展示会
接点の深さ 対面で表情や反応を見ながら話せる。実物にも触れてもらえる 画面越しになり、資料・動画・チャットが中心
来場者の範囲 会場に足を運べる人が中心 場所を問わず参加できる
得られる情報 名刺と会話メモが中心 閲覧やダウンロードなどの行動記録(取得範囲は主催者の仕様による)
準備の中心 ブース装飾、搬入、配布物 出展ページ、資料、動画、商談枠

リアル展示会とオンライン展示会の違いを上下2段で比べた図。上段のリアル展示会は対面で深く話せる点、会場に来られる人が中心である点、名刺と会話メモが残る点、ブース装飾が準備の中心である点を示す。下段のオンライン展示会は画面越しの接点、場所を問わない参加、閲覧やダウンロードの行動記録、出展ページと資料の準備を示す

リアル展示会での出展目的の立て方や成果の出し方は、展示会マーケティング成功パターン7選|BtoB企業の集客事例と実践ポイントが詳しいです。

オンライン展示会は閲覧や資料ダウンロードの行動が残る一方で、会話の温度感までは読み取りにくい面があります。行動の記録だけで見込み度を判断せず、チャットや商談予約の有無とあわせて見ます。オンライン展示会は、リアル展示会の代替ではなく、届く範囲と得られる情報が違う別の接点として設計することをおすすめします。

BtoBでオンライン展示会が向くケースと使い分けの判断基準

資料・動画・デモで価値が伝わる商材で、地域や業界が広く散らばる相手に接点を広げたいケースです。反対に、実物の質感や稼働が決め手になる商材や、その場で関係を深めたい案件は、リアル展示会のほうが適切です。

観点 オンラインが向く リアルが向く
商材の伝わり方 資料・動画・デモで価値が伝わる 実物の質感・大きさ・稼働が決め手になる
届けたい相手 地域や業界が広く散らばっている 特定業界の担当者が集まる展示会がある
出展の目的 新しい接点と資料請求を増やしたい その場で商談を進め、関係を深めたい
接触後の体制 行動の記録を見て、連絡の優先順位を付けられる 名刺と会話メモを整理して、すぐ連絡できる

使い分けは、目的、商材、届けたい相手、接触後のフォロー体制の4つの質問で判断します。それぞれの答えをオンライン向きかリアル向きに当てはめ、多いほうを中心にします。同数に割れた場合は併用し、役割を分けます。

リアル展示会とオンライン展示会の使い分けを判断する図。目的、商材、届けたい相手、接触後のフォロー体制の4つの質問それぞれに、オンライン向きとリアル向きの条件を並べる。オンライン向きが多ければオンライン中心、リアル向きが多ければリアル中心、同数なら併用して役割を分ける

当社では、展示会支援に加えてWebサイト制作・運用とインサイドセールスを提供しているため、リアルとオンラインのどちらで出会った見込み顧客も、Webやメールでの育成につなげる前提で設計しています。リアルで集めた名刺をWebで育てる手順は、オフライン集客とオンラインを連動させる方法|展示会リードをWebで育てる手順を併せてご覧ください。

オンライン展示会の出展準備と集客

目的とKPI、出展ページ、資料と動画、集客、商談の受け皿の5項目を先に決めます。物理的な準備はリアル展示会より少ない一方で、何を見せて誰に届けるかを先に決めておくと、閲覧数と商談数を分けて設計できます。

準備項目 決める内容 ポイント
目的とKPI 出展で得たい成果と、評価に使う指標 来場者数ではなく、商談化に近い指標を置く
出展ページ 誰のどんな課題に向けた出展かの見せ方 最初の画面で、扱う商材と対象を伝える
資料と動画 ダウンロード資料、紹介動画、デモの有無 検討段階の異なる資料を複数用意する
集客 主催者の集客と自社からの招待の分担 自社の見込み顧客と既存顧客へ招待を送る
商談の受け皿 チャット・商談予約の対応窓口と時間帯 対応者と返信の目安を事前に決める

当社の展示会支援では、出展前の目的設定とKPI設計からご相談を承ります。当社はWebサイトのデザインに入る前に、ターゲット・提供価値・ゴールを文章にしており、出展ページや資料も、同じ3点を先に決めておくと制作の迷いが減ります。

集客では、主催者開催型でも、主催者の集客に加えて自社から招待を送る運用が現実的です。オンライン展示会では、自社の見込み顧客や既存顧客への招待を並行して行うと、出展ページが見られる機会を増やせます。招待メールの設計は、メールマーケティングとは?効果的な設計と配信の実践5ステップ解説が手がかりです。

リアル展示会の準備段取りは、展示会の出展準備スケジュール|出展決定から当日までの段取りとチェック項目に整理しました。出展目的の整理から当日の運営補助まで、展示会支援でもご支援可能です。

当日運営と接触後のフォローの進め方

当日は、チャットと商談予約への初動対応、接触内容の記録の2つを担当者で分けて運営します。接触後は、行動の種類ごとに連絡の優先度を分け、できるだけ早く連絡するのが基本です。

接触の種類 見込み度の傾向 初動と次の一手
資料ダウンロードのみ 情報収集の段階であることが多いと考えられる お礼と関連資料を送り、メールで育成する
チャットでの質問 課題が具体的で、検討が進んでいることが多い 質問に答えたうえで、商談を提案する
商談予約 検討が進んでいる可能性が高い 予約日の前に、事前に聞く項目を送る

商談予約とチャットでの質問には、できる限り早く返信することを基本にします。接触直後は来場者の関心が高いと考えられるため、そこで返信できれば商談の提案へ進めやすくなります。当日の対応者は、返信の文面を事前に用意しておくと、初動を早められます。

当社は、展示会支援のサービスページで、獲得したリードを展示会後のメールやインサイドセールスへ引き継ぐところまでを支援範囲として公開しています。展示会後の育成の全体像は展示会後のフォロー営業設計|見込み顧客育成の全体像と実践の手順とは、シナリオの組み方はリードナーチャリングの設計方法|効果的なシナリオ実装の3つの型とはに整理しました。

費用対効果の見方|出展料以外の工数も含めて集計する

出展料だけでなく制作や運営の工数まで含めて費用を集計し、効果は来場者数ではなく商談化数で見ます。金額は主催者や形式によって大きく異なるため、出展料は各主催者の公式サイトで確認してください。

費用に含めるのは、出展料(主催者開催型の場合)、出展ページ・資料・動画の制作、招待メールや広告などの集客、当日対応とフォローの人件費です。自社開催型では、会場の構築にかかる費用も加わります。

指標 見る内容 注意点
ブース閲覧数 出展ページが見られた数 多くても商談につながるとは限らない
資料ダウンロード数 関心を持った人の数 資料の内容によって数が変わる
商談化数 商談に進んだ件数 出展の成果として最も重視する
受注数 成約に至った件数 検討期間が長いため、評価の時期を決めておく

BtoBは検討期間が長い商材も多く、出展直後の受注だけで判断すると成果が見えにくくなります。当社でも、120本以上のコンテンツ記事を運用する中で、Search Consoleのクエリデータを月次で見て記事の切り口を決める運用です。展示会も、評価の間隔と見る指標を先に決めておくと、出展ごとに比較しやすいです。オンライン展示会の評価は、来場者数ではなく商談化数を軸に、受注までの追跡期間を決めて行うことをおすすめします。リアル展示会を含めたROIの計算式は展示会の費用対効果とは|ROIの計算式とリード獲得単価の見方を解説、指標の置き方はマーケティングKPI・KGI設計の実践ガイド|失敗しない中小企業の4ステップが参考です。

オンライン展示会の運営を外部に委ねる範囲と依頼前の4点

運営の全体を自社で抱えなくても、足りない部分だけを外部に委ねる方法があります。次の状況が複数当てはまるときは、委ねることを検討する目安です。

当てはまる状況 委ねる範囲
出展の目的やKPIが社内でまとまらない 目的設定とKPI設計
出展ページ・資料・動画の制作に手が回らない 制作と、閲覧者に合わせた見せ方の設計
接触後に連絡する担当者が決まっていない メールでの育成やインサイドセールスへの引き継ぎ
リアルとオンラインのどちらにするか決めきれない 使い分けの整理と、併用する場合の役割分担

委ねる場合は、依頼前に4点を確かめておくと食い違いを防げます。費用に出展料と制作・運営のどこまでが含まれるか、取得した行動記録を誰がどの形式で受け取るか、報告の指標が来場者数ではなく商談化数まで及ぶか、接触後のフォローをどこまで任せるかです。

当社の展示会支援では、出展前の目的設定から、展示会後のメールやインサイドセールスへの引き継ぎまでを範囲とします。まずは上の表で自社の状況を確かめ、委ねる範囲が見えた段階でご相談いただけます。

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よくある質問

Q BtoBのオンライン展示会は効果がありますか?

A

資料・動画・デモで価値が伝わる商材で、地域や業界が広く散らばる相手に接点を広げたい場合は、有効な選択肢になります。一方で、効果は来場者数ではなく商談化数で見る必要があり、自社からの招待や接触後のフォローまで設計できているかで差が出ます。

Q オンライン展示会とリアル展示会(オフライン展示会)の違いは何ですか?

A

接点の深さ、来場者の範囲、得られる情報、準備の中身の4点が違います。リアルは対面で深く話せ、オンラインは場所を問わず広く接点を持ち、閲覧やダウンロードの行動が記録として残ります。優劣ではなく、目的に応じて使い分けます。

Q オンライン展示会はどんな企業に向いていますか?

A

資料や動画で価値を伝えやすい商材を持ち、全国や複数の業界へ接点を広げたい企業に向いています。接触後に連絡する担当者が決まっていることも条件です。実物が決め手になる商材は、リアル展示会を中心に考えるのが現実的です。

Q オンライン展示会とウェビナーの違いは何ですか?

A

ウェビナーは決めたテーマを決まった時間に届ける講演で、参加者は受け身で聞きます。オンライン展示会は、来場者が出展企業を自分で選んで資料や動画を見て回る売り場です。企画と運営はウェビナー運営の実践ガイドとは|企画から集客までの実践5ステップで整理しています。

Q オンライン展示会の費用対効果はどう見ればよいですか?

A

出展料だけでなく、制作・集客・当日対応・フォローの工数まで含めて費用を集計し、効果は商談化数を軸に見ます。受注までの期間が長い商材は、追跡する期間を先に決めておきます。出展目的やKPIの設計については、当社へのご相談もご検討ください。