「AI検索が普及してから、アクセスが減った気がする」——そう感じてサイトのデータを確認したものの、原因がAI検索によるものなのか、それとも別の要因なのか判断がつかず、対応に迷っている担当者の方も多いのではないでしょうか。AI検索によるアクセス減少と一口にいっても、実際には性質の異なる複数のパターンが存在し、それぞれで有効な対応はまったく異なります。本記事では、原因を切り分けるための診断フレームと、パターン別の具体的な対応策を解説します。

この記事でわかること
  • 減少の3つの原因パターン(診断)
  • AI検索でアクセスが減った場合どう対応すればよいか
  • 原因の切り分け方
  • パターン別の打ち手
  • ゼロクリック検索時代に重視したい指標とは

なぜAI検索でアクセスが減少するのか

Google のAI Overviewやチャット型のAI検索サービスは、ユーザーの質問に対してその場で回答を組み立てて提示するため、従来であれば検索結果をクリックして確認していた情報が、クリックせずに完結してしまうケースが増えています。従来の検索結果は、複数のサイトへのリンクを一覧で示し、ユーザー自身がクリックして情報を比較する仕組みでしたが、AI検索では複数の情報源を要約した回答がその場に表示されるため、個々のサイトへのアクセスという行動自体が発生しにくくなります。実際、Pew Research Centerの調査「Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results」(2025年7月22日)によれば、AI要約が表示された検索では通常のリンクのクリック率が8%(要約が表示されない場合は15%)にとどまり、要約内のリンクがクリックされた割合はわずか1%だったと報告されています。米国のユーザーを対象とした一時点の調査であり、Google自身は調査手法について異論を示している点にも留意が必要です。この変化にどう向き合うか、そもそもどのような戦略が有効かについては「AI検索SEO戦略とは|従来との違いと経営者が今打つべき5つの対策」で総論として解説していますが、本記事ではすでにアクセス減少という変化を実際に観測した方に向けて、その原因を切り分けて対応する方法に絞って解説します。総論記事が「これから何をするとよいか」を扱うのに対し、本記事は「すでに数字が落ちている状態から、何が起きているのかを特定する」という、より守りの視点に立った内容になります。

従来の検索結果は質問後に複数サイトへのリンク一覧が表示されユーザーがクリックして比較するため複数サイトへのアクセスが発生するのに対し、AI検索(AI Overviewなど)は同じ質問に対しAIが複数情報源を要約した回答をその場で生成し回答内で完結するため個々のサイトへのアクセスが発生しにくいことを示す比較図

減少の3つの原因パターン(診断)

アクセスの減少に気づいたとき、多くの担当者は反射的に「AI検索に順位を奪われたのではないか」と考えがちですが、実際には原因は一つとは限りません。当社では、アクセス減少の相談を受けた際、まず次の3つのパターンのどれに当てはまるかを切り分けるところから診断を始めています。

パターン 検索順位・表示回数への影響 主な原因 見分け方(確認するデータ) 有効な対応の方向性
パターン1:AI回答内で完結している 順位・表示回数はほぼ変わらないが、クリック数のみ減少 AI回答がその場で質問に答えてしまう AI回答内での自社情報の引用状況(AIMention等) 指名検索数・引用内容の正確性を評価指標に切り替える
パターン2:純粋な順位下落 掲載順位・表示回数そのものが下落 コンテンツの陳腐化、競合の台頭、技術的なクロール不良など Google Search Consoleの順位推移、内部リンク・技術要因の点検 従来型SEOの基本要因を一つずつ洗い出して改善する
パターン3:検索需要そのものの変化 順位は変わらないが検索ボリューム自体が減少 季節性・トレンドの変化による検索需要の縮小 Googleトレンド等での検索ボリューム推移 季節変動なら待機、構造的縮小なら関連KWへ軸足を移す

パターン1:AI回答内で完結している

1つ目は、検索結果でのキーワード順位自体はそれほど変わっていないにもかかわらず、AI回答が質問に十分答えてしまうため、ユーザーがサイトをクリックする必要を感じなくなっているパターンです。この場合、クリック数は減っていても、AIの回答内で自社の情報が引用され続けている限り、認知や信頼の獲得という観点では評価が維持されているか、むしろ向上している可能性があるという点が見落とされがちです。海外の調査会社Forresterの調査では、AI検索によるトラフィックの減少は実際に起きているものの、それは全体像の半分に過ぎず、クリック数以外の指標にも目を向ける必要があると指摘されています。表示回数や順位のデータだけを見ていると、この違いには気づきにくいという特徴があります。

パターン2:純粋な順位下落

2つ目は、AI検索の影響とは無関係に、通常の検索順位そのものが下がっているパターンです。コンテンツの鮮度が落ちている、競合サイトが新しい記事を公開した、技術的な問題でクロールされにくくなっているなど、原因は従来型のSEOの範疇にあることがほとんどです。このパターンをAI検索のせいだと思い込んでしまうと、本来必要な対応が後回しになり、状況がさらに悪化してしまう恐れがあります。

パターン3:検索需要そのものの変化

3つ目は、AI検索とも順位下落とも関係なく、そのキーワード自体を検索する人の数が季節性やトレンドの変化によって減っているパターンです。年に一度だけ話題になるようなキーワードや、社会的な関心が移り変わりやすいテーマを扱っている場合、検索ボリューム自体の増減がアクセス数に直結します。検索需要そのものが縮小している場合、コンテンツの品質をいくら高めてもアクセス数が元の水準に戻らないことがあるため、対応の方向性を誤らないよう注意が必要です。

AI検索でアクセスが減った場合どう対応すればよいか

3つのパターンを踏まえたうえで、実際にどう対応すればよいのかを見ていきます。重要なのは、対応策を検討する前に、まずどのパターンに当てはまるのかを見極めることです。順番を逆にして、診断を飛ばして対応策から手をつけてしまうと、パターン3のように打ち手そのものがあまり意味を持たない状況に対して、コンテンツの大幅改修という重いリソースを投じてしまうといった、労力の割に効果の出ない対応になりがちです。

原因の切り分け方(AIMentionのようなツールでの引用状況確認を含む)

パターン1とパターン2を見分ける最も確実な方法は、AI検索上で自社の情報がどのように扱われているかを直接確認することです。Google Search Consoleの表示回数・クリック数・平均掲載順位に加えて、実際にAI回答の中で自社が引用されているかどうかを継続的に確認できると、判断の精度が大きく上がります。「ゼロクリックだが引用はされている」状態と「単純に評価を落として順位も引用も失っている」状態は、通常のアクセス解析だけを見ていると同じ「アクセス減少」としか映らないため、見分けるには引用状況そのものを観測する仕組みが必要になります。AI Overviewでの掲載状況を継続的に計測する具体的な方法については「AI Overview掲載を計測する方法とは|おすすめツールと使い方を解説」で紹介しているツールが参考になります。この確認作業は手作業でも不可能ではありませんが、対象キーワードが増えるほど負荷が大きくなるため、AIMentionのようなAI検索での引用状況をモニタリングできるツールを併用すると、パターンの切り分けにかかる手間を抑えながら継続的に状況を把握しやすくなります。当社では、アクセス減少の相談を受ける際、まずこうしたツールで引用状況を確認し、憶測ではなくデータに基づいてパターンを特定するところから着手しています。

アクセス減少を検知した際に、検索順位の下落有無とAI回答内での引用有無を確認することで、パターン1(AI回答内で完結)・パターン2(純粋な順位下落)・パターン3(検索需要そのものの変化)のいずれに該当するかを判定する決定木フロー図

パターン別の打ち手

パターン1(AI回答内で完結している)の場合は、無理にクリック数を追いかけるのではなく、指名検索数やブランド名での言及、問い合わせ数など、クリックを経由しない指標で評価を確認する方針への切り替えが有効です。あわせて、AI回答内でどのように紹介されているか、内容が正確かどうかを定期的に確認し、誤った情報が引用されている場合は修正を働きかけることも欠かせません。表示・引用そのものを増やしたい場合の実践ステップは「AI Overview対策完全ガイド|表示・引用を増やす6つの実践ステップ」で詳しく解説しています。なお、このパターンでは焦って本文構成を大きく作り変える必要はなく、引用内容の正確性チェックと指標の見直しを先に済ませたうえで、必要な改修だけを段階的に行う進め方のほうが失敗しにくい傾向があります。

パターン2(純粋な順位下落)の場合は、AI検索を疑う前に、通常のSEOの基本に立ち返って原因を洗い出すことが優先されます。コンテンツの更新日や情報の鮮度、内部リンクの整理状況、競合サイトの動向、技術的なクロール・インデックスの状態など、従来から確認されてきたチェック項目を一つずつ潰していく地道な作業が必要になります。当社では、このパターンに該当する場合、AI検索対策よりも先に、こうした基本的な要因の洗い出しを優先するようにしています。

パターン3(検索需要そのものの変化)の場合は、そもそもそのキーワードへの投資を継続する価値があるかどうかを見直す機会と捉えるとよいでしょう。検索ボリュームの推移をGoogleトレンドなどで確認し、一時的な季節変動であれば時期を待つ、構造的な関心の低下であれば、より需要のある関連キーワードへとコンテンツの軸足を移すといった判断が求められます。

診断を一度きりで終わらせない

ここまでの3パターンは、一度診断して終わりというものではありません。パターン1だと思って様子を見ていたキーワードが、数ヶ月後には競合の台頭によってパターン2の状態に移行していることもありますし、逆に季節要因で落ち込んでいたパターン3のキーワードが、需要期に入って自然に回復することもあります。同じキーワードであっても時間の経過とともに当てはまるパターンが変化しうるという前提に立ち、月次など決まった頻度で再診断のタイミングを設けておくと、状況の変化を見落としにくくなります。当社では、こうした定点観測を月次のレポーティング業務の一部に組み込み、担当者が変わっても同じ基準で判断を引き継げるようにしています。

パターン1(AI回答内で完結)は競合の台頭や情報の陳腐化などによりパターン2(純粋な順位下落)に移行することがあり、パターン3(検索需要の変化)は需要期に入ると自然に通常の状態へ回復することがあるという、3パターンが固定的でなく時間とともに移り変わりうる関係を示す概念図

ゼロクリック検索時代に重視したい指標とは

AI検索の普及によってクリックを介さない情報接触が今後も増えていくことを踏まえると、クリック数や流入数だけを成果指標とする従来の考え方には限界が出てきます。調査会社Gartnerは2024年時点で「Gartner Predicts Search Engine Volume Will Drop 25% by 2026, Due to AI Chatbots and Other Virtual Agents」(2024年2月19日)として、生成AIチャットボット等の台頭により2026年までに検索エンジン経由の検索ボリュームが25%減少すると予測を示していました。これはあくまで2024年時点の予測であり、2026年8月時点の他の報道では予測されたほどの落ち込みは実際には確認されていないとの指摘もあるため、確定した実績値ではなく将来予測の一つとして参考にとどめておくことが望ましいと考えられます。ゼロクリックの状態を単純な「失敗」と捉えるのではなく、クリックの手前でどれだけ自社の情報が正確に伝わっているかという観点を評価軸に加える発想の転換が重要になってきています。

具体的には、指名検索数(自社名やサービス名での検索件数)、直接流入や問い合わせ数といったクリックの結果ではなく成果に近い指標、そしてAI回答内での引用頻度や紹介のされ方といった、これまで計測対象にしてこなかった指標への注目が欠かせません。当社では、こうした指標をクリック数と並べて定点観測することで、AI検索の影響を受けやすいキーワードとそうでないキーワードの傾向を少しずつ掴めるようになってきました。すべての指標を一度に整えようとする必要はなく、まずは指名検索数のような把握しやすい指標から確認を始め、余力に応じてAI回答内での引用状況の確認へと範囲を広げていく進め方が現実的です。

指標カテゴリ 具体的な指標例 何を示すか
クリック起点の指標(従来型) クリック数、セッション数、掲載順位 検索結果からサイトへ実際に遷移した量
クリックを経由しない成果指標 指名検索数、直接流入数、問い合わせ数 クリックの結果ではなく、認知や検討の進み具合
AI回答内での扱われ方を示す指標 AI回答内での引用頻度、紹介のされ方・正確性 クリックされなくても築ける認知・信頼の度合い

対応後、効果はどう確認すればよいか

パターンを見極めて対応策を実行したあとも、効果がすぐに数字へ表れるとは限りません。パターン2への対応であれば、順位やクリック数の回復まで数週間から数ヶ月かかることも珍しくなく、パターン1への対応であれば、そもそもクリック数という指標では効果を捉えにくいため、指名検索数やAI回答内での紹介のされ方の変化を追いかける必要があります。効果測定の期間をあらかじめ短く見積もりすぎると、途中で対応自体を諦めてしまう原因にもなるため、パターンごとに「どの指標を」「どのくらいの期間で」確認するかを、対応に着手する前の段階で決めておくことをおすすめします。

まとめ

AI検索によるアクセス減少に見えても、実際には「AI回答内で完結している」「純粋な順位下落」「検索需要そのものの変化」という性質の異なる3つのパターンが存在し、それぞれで有効な対応は異なります。まず原因を切り分け、パターンに応じた打ち手を選ぶという診断的なアプローチが、遠回りに見えて最も確実な対応策です。パターンを取り違えたまま場当たり的に手を打ってしまうと、本来必要のなかった大幅なコンテンツ改修に時間を使ってしまったり、逆に本当は対応が必要な順位下落を「AI検索のせいだから仕方がない」と見過ごしてしまったりする恐れがあります。診断に多少の手間がかかっても、最初にパターンを見極めておくことが、結果的に最短の解決につながります。自社のアクセス減少がどのパターンに当てはまるのか判断に迷う場合は、当社へのご相談もご検討ください。

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よくある質問

Q アクセスが減ったのがAI検索の影響かはどう見分けますか?

A

検索順位そのものが変わっていないのにアクセスだけが減っている場合は、AI検索の影響を疑う一つのサインです。Google Search Consoleの表示回数・掲載順位に加えて、AI回答内での引用状況もあわせて確認すると判断しやすくなります。

Q 順位は変わらないのにアクセスが減るのはなぜですか?

A

AI回答がユーザーの疑問にその場で答えてしまい、クリックせずに完結するケースが増えているためです。この場合、順位自体は維持されていても、クリック数だけが減少する傾向があります。

Q ゼロクリックが増えても対策する意味はありますか?

A

意味はあります。クリックされなくてもAI回答内で正確に紹介されていれば、認知や信頼の獲得にはつながっているため、引用内容の正確さを保つ取り組み自体に価値があります。

Q 減少にすぐ対応したいケースと様子見でよいケースの違いは?

A

通常の検索順位そのものが下落しているパターン2の場合は早めの対応が望まれますが、検索需要自体が季節性で減っているパターン3の場合は、需要が戻るタイミングを待って判断しても遅くはありません。

Q 自社の減少原因をAIMentionで診断してみませんか?

A

原因の切り分けに迷う場合は、AIMentionのようなツールで引用状況を確認しながら判断する方法もあります。自社の状況を踏まえて診断したい場合は、当社へのご相談もご検討ください。