BtoBサイトのリニューアルや改善に何度も取り組んでも、思うようにCV(コンバージョン)率が上がらない、という悩みを抱える担当者は少なくありません。BtoBサイトはBtoCの通販サイトとは異なり、その場で購入が完結することはほとんどなく、資料請求や問い合わせといった「次の接点」につなげることがCVの中心になります。本記事では、BtoB特有のCV導線の考え方と、ファーストビュー・フォーム設計・コンテンツ連携の実践ポイントを解説します。

この記事でわかること
  • CV率を高めるサイト設計とは
  • BtoB特有のCV導線の考え方
  • ファーストビューのポイント
  • フォーム設計が左右する理由

CV率を高めるBtoBサイト設計とは何か

BtoBサイトにおけるCV設計とは、訪問者が抱える課題や検討段階に応じて、資料請求・問い合わせ・セミナー申込みなど適切な行動を選び取れるよう、サイト内の導線をあらかじめ設計しておくことを指します。訪問者は必ずしも「今すぐ問い合わせたい」状態でサイトを訪れるわけではなく、多くは情報収集の途中段階にあります。

この前提を踏まえずに「お問い合わせはこちら」という単一の導線だけを用意していると、まだ検討初期の訪問者は、心理的なハードルの高さから離脱してしまいます。検討段階に応じた複数のCVポイントを用意することが、BtoBサイト設計の基本方針になります。単一の導線しか用意されていないサイトでは、訪問者の大半が「今はまだ問い合わせるタイミングではない」と感じたまま、何のアクションも起こさずに離脱してしまいます。

BtoBサイト特有のCV導線の考え方

BtoCサイトのCVが「購入」という単一のゴールに向かうのに対し、BtoBサイトのCVは商談化までの通過点として設計する必要があります。資料請求・メルマガ登録・セミナー参加といった「軽いCV」から、問い合わせ・見積もり依頼といった「重いCV」まで、複数の段階を用意することが実務上のポイントです。

BtoBサイトのCV段階設計を示すフロー図: 軽いCV(資料請求・メルマガ登録)、中間のCV(セミナー参加・事例閲覧)、重いCV(問い合わせ・見積もり依頼)を矢印でつないでいる

当社の支援先でも、問い合わせフォームしか用意していなかったBtoBサイトに、資料ダウンロードという軽いCVを追加したところ、全体のCV数が増加し、その後の営業フォローを通じて重いCVにつながるケースが出てきた例があります。軽いCVを増やすことは、単なる数字の底上げではなく、検討初期の見込み顧客との接点を確保する意味を持ちます。獲得したリードのその後の育成については「リードナーチャリングの設計方法|効果的なシナリオ実装の3つの型とは」もあわせてご覧ください。

ファーストビューで押さえたいポイント

ファーストビュー(訪問直後に表示される画面)では、何を提供している会社なのか、訪問者にとってどんなメリットがあるのかを、数秒で理解できる情報設計が求められます。専門用語を並べただけのキャッチコピーは、訪問者の課題と自社の提供価値の接点が見えにくく、離脱の原因になりがちです。

あわせて、ファーストビュー内、または少なくとも最初のスクロール範囲内に、資料請求など軽いCVボタンを配置しておくことも重要です。訪問者が本文を最後まで読んでからでないとCVボタンにたどり着けない設計では、途中離脱した訪問者を取りこぼしてしまいます。ページ下部までスクロールしないとCVボタンが見当たらないサイトは、BtoBサイトにおいて意外と多く見られる課題の一つです。

フォーム設計がCV率を左右する理由

どれだけ良い導線を用意しても、最後のフォーム入力の負担が大きいと、そこで離脱が発生してしまいます。入力項目を必要最小限に絞り、住所や役職など後から確認できる情報は初回フォームから省略することで、入力完了までのハードルを下げられます。

クライアント支援の現場では、フォームの入力項目を10項目から5項目に減らしただけで、フォーム完了率が改善したケースを何度か見てきました。入力項目を減らすことに抵抗があるかもしれませんが、初回接点で多くの情報を求めすぎるより、まず接点を持つことを優先する設計の方が、BtoBの長い商談サイクルにおいては合理的です。項目数だけでなく、入力欄の並び順や、必須項目と任意項目の見分けやすさといった細部も、フォームの完了率に影響を与えます。

コンテンツとCV導線をつなげる設計

コラム記事やお役立ち資料などのコンテンツは、単体で公開するだけでなく、関連するCVポイントへ自然に誘導する設計が重要です。記事の内容と無関係な「お問い合わせはこちら」のバナーを置くのではなく、記事のテーマに沿った資料請求やサービス紹介への導線を用意することで、訪問者の関心とCVの内容が一致しやすくなります。

自社の商談サイクル全体を見据えたCV設計の考え方については「BtoB企業のマーケティング戦略|長い商談サイクルへの対応法とは」でも解説していますので、あわせてご参照ください。

効果測定とPDCAの回し方

CV導線を設計した後は、どのページ・どのボタンからCVが発生しているかを継続的に計測し、改善を重ねることが欠かせません。ページごとのCV率だけでなく、軽いCVから重いCVへどれだけ転換しているかという段階間の推移も確認すると、導線のどこに改善余地があるかが見えやすくなります。

指標設計の考え方については「マーケティングKPI・KGI設計の実践ガイド|失敗しない中小企業の4ステップ」もあわせてご覧ください。

CVR改善で陥りやすい失敗

よくある失敗は、CVボタンの色や文言といった細部の改善にばかり注力し、そもそもの導線設計(検討段階に応じたCVポイントの用意)を見直さないことです。細部の改善も一定の効果はありますが、導線設計そのものに課題がある場合、根本的な改善にはつながりません。

もう一つの失敗は、CV数だけを追いかけ、その後の商談化率や受注率を追跡しないことです。軽いCVを増やす施策は、質の低いリードを大量に生む結果にもなり得るため、CV数と商談化の質をあわせて確認する視点が必要です。

スマートフォン閲覧時の導線設計

BtoBサイトはパソコンからのアクセスが中心だと思われがちですが、実際には移動中や隙間時間、あるいは出張先や商談の合間にスマートフォンで情報収集を行う担当者も少なくありません。これまでのご支援で見えてきたのは、スマートフォン表示でCVボタンが小さすぎたり、フォームの入力欄が使いにくかったりするだけで、パソコン利用時よりも離脱率が大きく上がってしまう傾向があるという点です。

スマートフォンでの閲覧を軽視せず、CVボタンの押しやすさやフォームの入力しやすさを、パソコンと同じ水準で丁寧に確認しておくことをおすすめします。

まとめ

BtoBサイトのCV率を高めるには、検討段階に応じた複数のCVポイントを用意し、ファーストビューでの訴求とフォーム設計の負担軽減、コンテンツとCV導線の自然な接続を意識することが土台になります。CV数を増やすことだけを目的にせず、その後の商談化・受注までを見据えた設計・計測を続けることが、BtoBサイトのCV改善では重要です。大きなリニューアルを一度に行うのではなく、まずは反応の良い1つのページから導線を見直し、効果を確認しながら他のページへと範囲を広げていく進め方も現実的な選択肢です。自社サイトのCV改善を専門家と一緒に進めたい場合は、「デジタルマーケティング支援」のサービスページもあわせてご覧ください。

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よくある質問

Q BtoBサイトのCV率は、平均するとどのくらいが目安ですか?

A

業界や商材によって幅が大きいため一概には言えませんが、資料請求のような軽いCVと問い合わせのような重いCVでは、期待できる率も大きく異なります。自社の過去データを継続的に計測し、自社なりの基準値を把握することが重要です。

Q 問い合わせフォームは1つだけで十分ですか?

A

検討段階によって適切なCVが異なるため、問い合わせフォームだけでなく、資料請求やセミナー申込みなど、心理的ハードルの異なる複数のCVポイントを用意することをおすすめします。

Q フォームの入力項目は、どこまで減らすべきですか?

A

絶対的な正解はありませんが、まずは氏名・会社名・メールアドレスなど必要最小限に絞り、役職や予算感などの詳細情報は、その後のやり取りの中で確認する設計が離脱を防ぎやすい傾向にあります。

Q CV率が改善しない場合、何から見直せばよいですか?

A

ボタンの色や文言といった細部だけでなく、検討段階に応じたCVポイントが用意されているか、フォームの入力負担が大きすぎないかという、導線設計そのものを見直すことをおすすめします。

Q CV数が増えても商談化しない場合、どう対応すればよいですか?

A

軽いCVで獲得したリードは、すぐに営業へ渡すのではなく、リードナーチャリングを通じて段階的に検討を深めてもらう設計が有効です。進め方に迷う場合は、当社へのご相談もご検討ください。