BtoBの新規顧客との接点づくりとして、展示会への出展を続ける企業は少なくありません。一方で、「出展準備をいつから何に着手すればよいのか分からない」「準備に必要な作業を整理しきれずスケジュールを組めない」「当日の役割分担が曖昧なまま会期を迎えてしまう」といった点が課題になっています。本記事では、展示会の出展準備で最初に決めること、出展決定から当日までのスケジュール、ブースと集客の準備、当日の運営体制、備品と名刺管理のチェック項目を解説します。

この記事でわかること
  • 最初に決める3つ(目的・ターゲット・KPI)と、出展準備の考え方
  • 会期から逆算する4つの時期別スケジュール
  • ブース設計・集客・事前アポイントの準備のポイント
  • 当日の5つの役割と、事前に決めておく仕組み
  • 備品・資料・名刺管理の6分類チェックリスト

展示会の出展準備で最初に決めること

出展が決まったら最初に決めるのは、ブースの装飾や配布物ではなく、目的・ターゲット・KPI(重要業績評価指標)の3つです。この3つが、ブースと資料の用意、集客、運営体制の整備まで、会期当日までの作業すべての判断基準です。

決めること 内容 決まると判断できること
出展の目的 新規リードの獲得、既存顧客との関係強化、商談の前倒しなど、何のために出るか 展示内容とトークの重心、注力する集客施策
ターゲット どの業種・役職・課題を持つ来場者と出会いたいか 訴求メッセージ、事前に案内する相手、声かけの基準
KPI 目的を測る数値。名刺の獲得数だけでなく、事前アポイントの件数や商談化を見込む件数も含める 必要なスタッフ数、配布資料の量、当日の記録項目

この3つに加えて、使える費用の枠と準備を担当する人を仮置きしておくと、外部に依頼する範囲を判断しやすい状態を作れます。目的は複数あっても構いませんが、最優先の1つを決めておかないと、ブースの見せ方も当日の優先順位も定まらないため、先に絞りましょう。

当社では、展示会支援として、出展前の目的設定とKPI設計から相談を受けています。出展が決まったあとでも、ブースや資料の制作に入る前にこの3つを言語化しておけば、制作物の判断が揃い、手戻りが減ります。

出展費用に対する効果の見方は展示会の費用対効果とは|ROIの計算式とリード獲得単価の見方を解説に、成功パターンは展示会マーケティング成功パターン7選|BtoB企業の集客事例と実践ポイントにまとめました。当社でも本記事の企画時に、公開済みの120本以上の記事のタイトル・見出し・メインKWを突き合わせ、準備の段取りを扱う記事がないことは確認済みです。

展示会の準備スケジュールはいつから何をするか

目安として、会期の約半年前から始め、4つの時期に分けて進める方法があります。会期から逆算し、各時期で「決める・手配する・作る・確認する」の4種類の作業を整理すれば、抜け漏れを防げます。

展示会の準備を4つの時期に分けて示した多層カード図。出展決定直後、設計期、制作・手配期、直前期の順に、各時期の主な作業、その時期に揃えるもの、注意する点を整理している。月数は目安で、主催者の締切と展示会の規模で前後する

月数はあくまで目安です。大規模な展示会では、出展申込や小間(ブースの区画)の位置決めがこれより早く締め切られることもあるため、主催者から届く出展者向けの案内の締切を基準に、各時期の幅を調整します。

時期の目安 決める 手配する 作る 確認する
出展決定直後(会期の約6か月前〜) 目的・ターゲット・KPI、担当者 主催者の出展者向け案内の取り寄せ 準備スケジュールと担当表 主催者の締切一覧、社内の合意
設計期(約5〜4か月前) 展示内容、訴求メッセージ、ブースの構成 装飾・パネル制作の依頼先、備品の見積もり ブースの設計案、配布資料の構成案 目的とブース構成が合っているか
制作・手配期(約3〜2か月前) 集客施策、事前アポイントの対象、当日の役割 備品、電源・通信などの申込、配布物の印刷 パネル、パンフレット、デモ、案内メール 校正、主催者への申込締切
直前期(約1か月前〜前日) 当日のシフト、声かけとヒアリングの型 搬入出、梱包、移動・宿泊 名刺の受け皿、ヒアリングシート 備品の過不足、機材の動作、リハーサル

パネルや造作物のように制作に日数がかかるものと、電源・通信のように期日までの申込が必要なものは、会期から遠い時期のうちに手配先を押さえます。準備スケジュールは、会期日からの逆算に、主催者の締切を重ねて組むのが基本です。

当社の展示会支援では、準備スケジュールも目的とKPIから逆算して組む考え方です。目的の整理、出展物と導線の準備、当日運営、フォローの4段階に分け、準備の各時期の作業をこの流れに沿って位置づけます。

展示会のブース設計・装飾の準備

ブース設計の基準は、通路を歩く来場者が、何の会社で何を解決できるかを短い時間で理解できることです。展示内容と装飾は、決めた目的とターゲットから逆算し、見せたいものを増やすよりも、伝える内容を絞ります。

ブースの要素 決めること 判断の目安
訴求メッセージ 誰のどんな課題を解決するかを1文で示す 通路から読める大きさと文字量に収める
展示内容 デモ、実物、資料のうち何を見せるか 目的とKPIに直結するものを優先する
レイアウトと動線 受付、説明、商談スペースの配置 立ち寄る、説明を聞く、名刺を交換する流れが途切れない
装飾・造作 パネル、什器、照明の仕様 小間の高さなど、主催者の装飾規定と搬入出の方法に合っている
配布物 渡す資料の種類と対象 全員に渡すものと、商談者に渡すものを分ける

当社では、デザインに着手する前にターゲット・提供価値・ゴールを言語化します。ブースのパネルや配布資料でも同じで、この3つを先に決めてから構成に入れば、見た目の好みで判断が割れる事態を避けられます。

展示会の集客施策と事前アポイントの準備

来場者が通りかかるのを待たず、会期前に会いたい相手へ案内しておくのが基本です。ターゲットとして決めた相手に、個別の招待とメールやWebでの告知を組み合わせます。

施策 対象 準備すること 準備を始める時期の目安
営業担当による個別の招待 既存顧客、商談中の見込み客 招待先の一覧、案内文、ブースの場所 制作・手配期
メールでの案内 名刺やリードを保有している相手 配信リスト、件名と本文、ブースで見られる内容 制作・手配期〜直前期
自社サイトやSNSでの告知 サイトの訪問者、フォロワー 出展情報のページ、ブース番号、見どころ 制作・手配期〜直前期
主催者の告知枠の活用 来場予定者 出展者紹介の文面、掲載用の画像 主催者の案内に従う

メールの設計はメールマーケティングとは?効果的な設計と配信の実践5ステップ解説を、自社サイトでの告知やリードの育成まで含めた連動の考え方はオフライン集客とオンラインを連動させる方法|展示会リードをWebで育てる手順をご覧ください。

事前アポイントは、ブース内の商談スペースの時間枠を先に決め、招待の際に「見たいデモ」や話したい課題を聞いておく形で進めます。事前アポイントの対象は、名刺を交換したい相手ではなく、商談につなげたい相手から先に決めることが重要です。

展示会当日の運営体制と役割分担

役割は、責任者、呼び込み、説明・商談、受付・リード記録、事前アポイント対応の5つに分けると、人数が少なくても回せます。役割ごとの動きと、事前に決めておく仕組みは、分けて整えます。

展示会当日の運営を上下2段で示した役割分担の図。上段に事前に仕組みとして決めておく4つ(シフト表、声かけとヒアリングの型、温度感のランク基準、引き継ぎのルール)、下段に当日人が担う5つの役割(責任者、呼び込み、説明・商談、受付・リード記録、事前アポイント対応)を並べている

役割 担う内容 事前に決めておくこと
責任者 全体の進行、現場の判断と調整、休憩の割り振り 判断が必要な場面と連絡先
呼び込み 通路の来場者への声かけ、ブースへの誘導 声かけの対象と最初のひとこと
説明・商談 サービスの説明、課題のヒアリング 説明の持ち時間、ヒアリングの項目
受付・リード記録 名刺の受け取り、温度感の記録、資料の手渡し 記録の項目と温度感のランク基準
事前アポイント対応 事前に約束した来場者の案内、営業への引き継ぎ 引き継ぎの基準と連絡手段

少人数で出展する場合は兼任になりますが、受付・リード記録は説明・商談の担当と分けておけば、記録の項目が揃います。

温度感のランクは、例えば、導入時期や予算の話が出たものを高、課題はあるが時期が未定のものを中、情報収集の段階のものを低とする形で、当日に迷わないよう事前に言葉で基準を決めておくことが要点です。会期後のフォローは展示会後のフォロー営業設計|見込み顧客育成の全体像と実践の手順とはに、営業との引き継ぎの設計はマーケティングと営業の連携設計とは|アラインメントの実践手法を解説にまとめました。

展示会の備品・資料・名刺管理のチェックリスト

備品と資料は6分類に分けて見ると、当日の不足を防げます。手配が必要なものは制作・手配期までに済ませ、直前期は現物の過不足と動作の確認に充てます。

分類 確認する項目 確認の時期
ブース備品 什器、電源タップ、照明、ごみ箱、養生テープ、予備の文具 直前期
展示・デモ機材 PC・タブレット、デモ動画の再生、通信環境、予備機 手配は制作・手配期、動作確認は直前期
配布資料 パンフレット、サービス資料、ノベルティ、対象別の仕分け 制作・手配期に校正、直前期に数量
名刺・リード管理 名刺の受け皿、ヒアリングシート、読み取りの方法、取り込み先 直前期
運営用品 名札、連絡先一覧、スタッフの飲料、救急用品 直前期
搬入出・手続き 搬入出の時間枠、梱包、出展者証、移動・宿泊 制作・手配期〜直前期

電源や通信は、主催者への申込が必要な場合があります。紙の資料に加えて、その場で資料請求につなげるホワイトペーパーを用意する方法は、ホワイトペーパーの作り方とは|リード獲得につなげる設計の実践手順で解説しました。

当社は、ブースの見せ方やパンフレットなどの出展物を社内で制作しており、メッセージを揃えたまま準備を進める体制です。

名刺は、当日の温度感の記録と合わせて、会期後すぐ取り込める状態にします。取り込み先のCRMやMAの選び方はCRMツールの選び方とは|失敗しないための5つの比較視点と基準を解説が参考になります。

展示会準備を外部に任せる目安と、社内に残す判断

準備を外部に任せる目安は、社内の工数と判断の材料が、逆算したスケジュールに足りないときです。具体的には、兼任の担当者が準備に割ける時間が少ないとき、目的とKPIが社内で合意できていないとき、初出展で主催者の規定や締切を読み解けないとき、パネルや資料を作る担当がいないときが当てはまります。制作・手配期に入ったのに設計が終わっていない場合も、日数のかかる項目から外部に渡すのが現実的です。

外部に委ねても、目的・ターゲット・KPIの最終判断と、会期後に商談へ進める相手の決定は社内に残します。相談の前に確認しておきたいのは4点です。委ねる範囲が、目的設計、ブース・資料の制作、集客、当日運営の補助のどこまでか。見積に搬入出や備品の手配費が含まれるか。制作物の納期が主催者の申込・提出の締切に間に合うか。会期後のリードを、名刺データと温度感の記録のどの形で引き渡してもらうか。

当社は、出展前の目的設定とKPI設計から、ブースや資料などの出展物の制作、当日の運営補助まで、必要な範囲での相談を受け付けています。準備スケジュールや役割分担の整理だけでも構いませんので、展示会支援のページから状況をお知らせください。

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よくある質問

Q 展示会の出展準備はいつから何をしますか?

A

会期の約半年前を目安に、目的・ターゲット・KPIを決めることから始めます。その後、ブースの設計、備品や配布物の手配、集客の準備、直前の確認の順に進めます。展示会の規模や主催者の締切で前後するため、出展者向けの案内で締切を確認してください。

Q 展示会のスケジュールはどのように組みますか?

A

会期から逆算し、出展決定直後、設計期、制作・手配期、直前期の4つの時期に分けて組みます。各時期で決める・手配する・作る・確認するの作業を整理し、主催者の申込・提出の締切を先に書き込みます。費用対効果の見方は展示会の費用対効果とは|ROIの計算式とリード獲得単価の見方を解説も参考になります。

Q 展示会に出展する前のチェックリストにはどんな項目がありますか?

A

ブース備品、展示・デモ機材、配布資料、名刺・リード管理、運営用品、搬入出・手続きの6分類で確認します。手配が必要なものは制作・手配期までに済ませ、直前期は現物の過不足と機材の動作確認に充てると、当日の不足を防げます。

Q 展示会の事前アポイントはどう準備しますか?

A

ブース内の商談スペースの時間枠を先に決め、商談につなげたい相手から順に招待します。招待の際に見たいデモや話したい課題を聞いておくと、当日の準備がしやすくなります。オンラインとの連動はオフライン集客とオンラインを連動させる方法|展示会リードをWebで育てる手順で解説しています。

Q 展示会の出展準備を相談することはできますか?

A

出展前の目的設定とKPI設計から、ブースや資料などの出展物の制作、当日の運営補助まで、必要な範囲でご相談いただけます。展示会の準備スケジュールや役割分担の整理については、当社へのご相談もご検討ください。