Webサイトを公開して終わりにせず、更新やセキュリティ対策を続けながら運用していく資産として扱う企業が増えています。一方で、「保守運用では具体的に何をするのか分からない」「社内と制作会社のどちらが何を担うのか決まっていない」「保守契約の範囲が妥当か判断できない」という声をよくいただきます。本記事では、ホームページの保守運用の作業項目、社内と制作会社の分担の決め方、保守契約の範囲の見方、運用体制の決め方を解説します。
- 更新・セキュリティ・バックアップなど保守運用の作業項目5つ
- 社内と制作会社の分担の決め方
- 保守契約の範囲で確認する6つの項目
- 運用で起きやすい対応と予防策
- 担当を割り振るサイト運用体制の決め方と、状況別に最初に確認すること
ホームページの保守運用とは?保守・運用・改善の違い
公開後のWebサイトを安全で最新の状態に保つために行う、更新・セキュリティ対策・バックアップ・障害対応・改善の作業全般を指します。
「保守」「運用」「改善」は混ぜて使われがちですが、役割は別です。保守はサイトを止めずに守る作業、運用は掲載内容を最新に保つ作業、改善は数値を見て成果を伸ばす作業です。契約書に「保守」とだけ書かれている場合、運用や改善は含まれないケースも少なくありません。
当社は、Webサイト制作・運用として、公開後の運用・改善まで一貫して対応しています。費用ではなく作業と担当の整理に絞ります。見積もりの読み方はWeb制作会社の選び方とは|見積もりで必ず確認すべき5つの内訳ポイントを参照してください。保守運用は「何をするか」と「誰がするか」を分けて決めることをおすすめします。
ホームページの保守運用で行う作業項目5つ
更新、セキュリティ、バックアップ、障害対応、改善の5つです。
| 作業項目 | 主な作業内容 | 実施の目安 | 担当が決まっていない場合に生じること |
|---|---|---|---|
| 更新 | お知らせや事例の追加・修正、会社情報や採用情報の差し替え | 情報が変わったときに随時 | 古い情報が残り、問い合わせの前提がずれる |
| セキュリティ | CMS・プラグイン・テーマ・サーバーソフトウェアの更新、不要アカウントの整理 | 定期(頻度は運用に合わせて決める) | 更新が止まり、既知の脆弱性が残る |
| バックアップ | データベースとファイルの定期保存、復元手順の確認 | 取得は自動、復元の確認は定期的に | 障害時にサイトを元に戻せない |
| 障害対応 | 表示エラーやフォーム不具合の検知、原因の切り分け、復旧 | 発生時(監視は常時) | 気づくまでに時間がかかり、問い合わせの機会を逃す |
| 改善 | アクセス解析の確認、表示速度の見直し、導線やフォームの調整 | 月次から四半期 | 公開時の状態のまま、成果が伸びにくい |

更新の運用では、当社では公開日と最終更新日を記事ページに表示する仕組みをテーマ側に実装し、公開した記事の見直しを運用に組み込んでいます。
セキュリティ対策の基本は、ソフトウェアを最新の状態に保つことです。情報処理推進機構(IPA)の「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条 〜セキュリティ対策のチェックポイント〜」(2019年3月6日更新、2026年10月9日閲覧)では、OSやサーバーソフトウェア、ミドルウェアのバージョンアップはセキュリティ対策の基本とされています。また、ログは不審な動きがあった際の原因追究に重要な情報源と位置づけられます。
IPAは、バージョンアップによって今まで動いていたウェブアプリケーションが正常に動かなくなる場合があるため、事前の検証が必要としています。CMSやプラグインも同様に、公開中のサイトへ反映する前にテスト環境で動作を確認する流れが一般的です。バックアップは取得するだけでなく、実際に復元できるかまで定期的に試しておくことが大切です。
当社では、Search Consoleのクエリデータを月次で見て、記事の切り口を決めます。何を見て判断するかはWebサイト改善の効果測定とは|GA4・GSCで確認する5つの指標、表示速度の見直しはCore Web Vitalsとは?3つの指標と改善方法を解説【2026年版】が参考になります。
保守運用の社内と制作会社の分担の決め方
サイトの内容を判断する作業は社内、技術的な作業と復旧は制作会社に分けます。内容の正しさを判断できるのは自社の担当者であり、サーバーの操作は専門知識のある制作会社のほうが安全に行えるためです。

| 判断の観点 | 社内が担いやすい作業 | 制作会社に任せやすい作業 |
|---|---|---|
| 必要な知識 | 事業や商品の知識で行える作業(お知らせ、事例、採用情報の更新) | サーバーやCMSの専門知識が必要な作業(ソフトウェア更新、復旧) |
| 元に戻しやすさ | 修正すれば戻せる、影響が限られる | サイト全体の停止やデータの消失に関わる |
文章や画像の差し替えは社内、ソフトウェアの更新や障害の切り分けは制作会社という分担が一般的です。更新を社内で完結させたい場合は、CMSの選び方も分担に影響します。WordPressとヘッドレスCMSの違い|自社に合うCMSの選定基準を参考にしてください。
当社でも、自社サイトでコンテンツ記事を120本以上公開・運用中です。公開数が増えるサイトでは、更新を行う担当と確認の流れを先に決めておくと、更新が滞りにくくなります。
保守運用の契約範囲の見方
作業項目ごとに、どこまで含まれるかを確かめます。同じ「保守」という名称でも、サーバーの死活監視だけを指す場合と、ソフトウェア更新やバックアップ、軽微な修正まで含む場合があります。確認する項目は次の6つです。
| 確認項目 | 見るポイント | 決まっていない場合に生じること |
|---|---|---|
| 対応する作業の範囲 | 更新、セキュリティ、バックアップ、障害対応、改善のうち、どれが含まれるか | 期待した作業が範囲外で、追加の依頼になる |
| 対応時間と連絡手段 | 対応は営業時間内か、緊急時の連絡先と受付方法は何か | 障害時の連絡に時間がかかる |
| 更新の回数や工数の上限 | 内容の更新が含まれるか、上限を超えた場合の扱い | 更新依頼のたびに範囲の解釈が分かれる |
| バックアップの仕様 | 取得の頻度、保管期間、復元作業が含まれるか | 必要な時点のデータが残っていない |
| 障害時の対応範囲 | 原因がサーバーやプラグインにある場合の対応と責任の分け方 | 原因の切り分けに時間がかかる |
| 契約期間と引き継ぎ | 解約時に、ドメイン、サーバー、管理画面のアカウント、データを渡してもらえるか | 担当会社を変えたいときに、管理権限が自社にない |
特に見落とされやすいのは、最後の契約期間と引き継ぎです。ドメインやサーバーの契約名義が制作会社になっていると、担当会社を変更するときの手続きが複雑です。契約書の「保守」の二文字だけで範囲を判断せず、作業項目ごとに含まれるかを書面で確かめることをおすすめします。
運用の中で対応が必要になる場面と予防策
更新の停止、アカウントの放置、更新後の不具合、期限切れの4つが代表的です。
| 場面 | 背景 | 備えておくこと |
|---|---|---|
| 更新が止まり、情報が古くなる | 更新担当がいない、または承認の経路が長い | 更新担当と承認者を決め、承認者は最小限にする |
| 退職者や外部の人のアカウントが残る | 担当の変更時にアカウントを見直していない | 共有アカウントを避け、担当の変更時に棚卸しする |
| 更新後に表示やフォームの動作が変わる | 更新を公開中のサイトに直接適用している | テスト環境で確認し、更新後にフォームの送信テストを行う |
| ドメインや証明書の期限が近づく | 期限と管理者が一覧になっていない | 期限一覧を作り、確認する担当を決める |
当社でも、自社サイトの構造化データはリッチリザルトテストで検証する運用です。テンプレートの修正のあとに、表示や構造化データを点検する作業も保守の対象です。フォームの設計は入力フォームの改善方法|BtoBの離脱を減らすEFO施策と項目数の目安、保守作業のあとに検索順位が変動した場合の切り分けは検索順位が下がった原因とは|SEO担当者のための15の確認ポイントが詳しい記事です。
サイト運用体制の決め方
目的と更新の頻度を先に決め、そのあと作業ごとに担当を割り振ります。
当社の支援では、デザインに着手する前にターゲット・提供価値・ゴールを言語化します。公開後も、ゴールが定まっていれば更新や改善の優先順位を判断できます。
体制づくりは5つの手順で進めます。1つ目は、サイトの目的と更新の頻度を決めること。2つ目は、5つの作業項目それぞれに、社内と制作会社の担当を割り振ること。3つ目は、制作会社との窓口と、公開を承認する人を決めること。4つ目は、依頼の方法と緊急時の連絡経路を決めておくこと。5つ目は、半年から1年に一度、体制を見直す日を決めておくことです。
この体制は、制作を依頼する段階で決めておくと手戻りが少なく済みます。進め方はWebサイト制作の要件定義|発注前に決めておく7項目とRFPへのまとめ方が詳しい記事です。
状況別に見る、保守運用で最初に確認すること
ここまで読んでも決めきれない場合は、次の表で自社に最も近い状況から着手するのが近道です。
| 自社の状況 | 最初に確認すること |
|---|---|
| 保守契約はあるが、範囲が分からない | 6つの確認項目を契約書と突き合わせ、ドメインとサーバーの名義が自社かを確かめる |
| 更新を担当する人が社内におらず、情報が古いまま | 更新を含む保守契約を前提に、更新担当と承認者を決める |
| 更新はできるが、技術的な対応を頼める先がない | ソフトウェア更新、バックアップ、障害対応を制作会社に任せる契約から相談する |
| サイトの目的も更新の頻度も決まっていない | 運用体制の手順の1つ目、目的と更新の頻度から決める |
| 構成が古く、更新や修正の負担が大きい | 保守契約を見直す前に、リニューアルの要否を確かめる |
複数に当てはまる場合は、サイト全体の停止やデータの消失に関わる項目から先に担当を確定します。バックアップの復元確認と名義の確認が先で、文章の更新は後から回せます。リニューアルの要否はWebサイトリニューアルの判断基準|中小企業が知るべきタイミングと費用相場で判断できます。公開後の運用・改善まで見据えた制作は、Webサイト制作・運用の対象です。
マーケティング支援サービスの資料ダウンロード
アズ・マーケティングのサービス内容・支援実績・料金体系をまとめた資料を無料でダウンロードいただけます。マーケティング戦略の検討にお役立てください。
よくある質問
Q ホームページの保守運用は何をしますか?
ホームページの保守運用では、更新、セキュリティ対策、バックアップ、障害対応、改善の5つの作業を行います。サイトを安全で最新の状態に保つのが目的です。契約によって含まれる作業が異なるため、作業項目ごとに範囲を確認することをおすすめします。
Q Webサイトの保守運用の範囲はどこまでですか?
範囲は契約によって異なります。サーバーの監視だけを指す場合もあれば、ソフトウェア更新やバックアップ、軽微な内容更新まで含む場合もあります。対応する作業、対応時間、更新の上限、障害時の対応範囲などを書面で確認しておくと、後の認識の違いを防げます。
Q 保守運用は社内と制作会社でどう分担しますか?
お知らせや事例の更新など、事業の知識で判断できる作業は社内、ソフトウェアの更新、バックアップ、障害の切り分けといった技術的な作業は制作会社に任せる分担が一般的です。境目の作業は、事前に具体例で合意しておくと迷いません。
Q サイトの運用体制は何から決めればよいですか?
最初に、サイトの目的と更新の頻度を決めます。次に、5つの作業項目ごとの担当、制作会社との窓口、公開の承認者を割り振り、緊急時の連絡経路も決めておきます。制作の依頼段階で決めておくと手戻りが少なくなります。詳しくはWebサイト制作の要件定義|発注前に決めておく7項目とRFPへのまとめ方をご覧ください。
Q 保守運用の契約で特に確認しておく点は何ですか?
対応する作業の範囲、対応時間と連絡手段、更新の上限、バックアップの仕様、障害時の対応範囲、解約時の引き継ぎの6項目です。特にドメインやサーバーの名義、管理画面のアカウントの扱いは見落とされやすいため、契約前の確認をおすすめします。ご不明な点については、当社へのご相談もご検討ください。