MAツールを導入し、リードスコアリングで見込み顧客を評価する企業は増えていますが、点数をつけること自体が目的化してしまうケースも少なくありません。「どの行動に何点をつければいいか分からない」「スコアが高くても商談化しない」「営業とマーケティングで評価基準がズレている」という声もよく聞きます。本記事では、リードスコアリングとは何か、評価基準の作り方の基本、設計時に陥りやすい失敗のパターンを解説します。

この記事でわかること
  • リードスコアリングとは
  • 評価基準の作り方の基本
  • スコアの減衰とネガティブスコアリング
  • よくある失敗

リードスコアリングとは

リードスコアリングとは、見込み顧客の属性や行動に点数をつけ、営業アプローチの優先順位を判断するための仕組みです。すべてのリードに同じ熱量で対応しようとすると、確度の高いリードへの対応が遅れ、機会損失につながりかねません。スコアリングによって優先順位を可視化することで、限られた営業リソースを確度の高いリードに集中させられます。リードの数が少ないうちは目視で優先順位を判断できますが、月間の獲得リード数が増えてくると、スコアリングの仕組みなしでは対応の抜け漏れが発生しやすくなります。

評価基準の作り方の基本

属性スコアと行動スコアを分ける

業種・企業規模・役職などの「属性スコア」と、資料ダウンロード・セミナー参加・価格ページ閲覧などの「行動スコア」を分けて設計します。属性が自社のターゲット像に近くても、行動が伴わなければ検討度合いは低いと判断できます。当社では、MAツール導入の支援先に対して、まず属性スコアで対象外のリードを絞り込み、行動スコアで検討度合いを測る2段階の設計を提案しています。

行動ごとの点数配分を決める

資料ダウンロードと価格ページの閲覧では、検討度合いの重みが異なります。すべての行動に一律の点数をつけてしまうと、閲覧しただけの軽い行動と、価格を確認した重い行動が同列に扱われ、スコアの精度が下がってしまいます。価格ページ閲覧・デモ依頼等、商談に近い行動には高い点数を、資料ダウンロードのような初期接点には低めの点数を配分します。点数配分の一例を挙げると、次のようなイメージです。

行動 点数の目安 理由
デモ・トライアル依頼 高い 導入検討が具体化しているサイン
価格ページ閲覧 中〜高 予算感を意識し始めている段階
セミナー・ウェビナー参加 中程度 課題意識はあるが検討段階は未確定
資料ダウンロード 低〜中 情報収集段階の初期接点
メールマガジンの開封のみ 低い 関心は継続しているが行動には至っていない

この点数配分はあくまで出発点であり、自社の実際の商談化データを蓄積しながら、どの行動が実際に商談化に結びついているかを検証し、点数を調整していくことが前提になります。

業種・企業規模・役職等、自社ターゲットとの近さを評価する属性スコアと、資料ダウンロード・セミナー参加・価格ページ閲覧等の行動を評価する行動スコアの違いを示す比較図

営業とすり合わせてしきい値を決める

スコアが何点に達したら営業に引き渡すか(しきい値)は、マーケティング部門だけで決めず、実際に対応する営業部門とすり合わせます。しきい値を低く設定しすぎると、確度の低いリードまで営業に渡ってしまい対応工数が増え、高く設定しすぎると、対応したいタイミングを逃してしまいます。営業側の対応キャパシティも踏まえて、無理のない件数に収まる水準から始めるのが現実的です。当社では、しきい値を設定した後、実際に引き渡したリードの商談化率を営業側にフィードバックしてもらい、数値を継続的に調整する運用を提案しています。

スコアの減衰とネガティブスコアリング

基本的な点数配分に加えて、より精度を高めるための2つの考え方があります。1つは「スコアの減衰(ディケイ)」で、一定期間行動がないリードのスコアを自動的に下げていく仕組みです。半年前に資料をダウンロードしたきり動きのないリードと、先週デモを依頼したリードが同じスコアのままでは、現在の検討熱量を正しく反映できません。もう1つは「ネガティブスコアリング」で、競合他社からと思われるアクセスや、採用ページのみを繰り返し閲覧する行動など、商談化につながりにくい行動にはマイナス点を設定する考え方です。当社では、リードスコアリングの精度を高めたい支援先に対して、まず基本の点数配分を運用してから、減衰とネガティブスコアリングを段階的に追加することを提案しています。

よくある失敗

スコアだけを絶対視し、営業担当者が持っている定性的な情報(商談での温度感、決裁者との関係性等)を無視してしまうケースもよく見られます。スコアはあくまで優先順位づけの補助であり、実際の対応可否まで機械的に決めるものではありません。スコアが高くても、営業担当者が商談で違和感を持っている場合は、その定性情報を優先して判断できる余地を残しておくことが望ましいと考えられます。スコアリングの仕組みを導入した後、営業担当者にスコアの根拠(どの行動が加点されているか)が見えない状態にしてしまうと、営業側がスコアを信頼せず、結局は独自の判断だけで動くようになってしまいます。スコアの内訳を営業側にも共有できる状態にしておくことが、活用を定着させる前提になります。

一度設計したスコア基準を固定したまま長期間見直さないと、商材や市場の変化に合わなくなっていきます。スコアが高いのに商談化しないリードが増えてきた場合は、点数配分が実態とズレているサインとして捉える必要があります。当社では、リードスコアリング導入後の支援先に対して、四半期ごとにスコアと商談化率の相関を確認し、配分がズレている行動項目を洗い出す運用を提案しています。定期的に、スコアの高いリードが実際に商談化しているかを確認し、基準を微調整することが必要です。チャットボット等、他の接点と組み合わせた設計は「チャットボットのシナリオ設計とは|リード獲得を高める作り方の基本」もあわせてご参照ください。

リードスコアリング設計の進め方として、スコア対象にする行動を一覧化し、行動の重みに応じて点数を配分し、営業とすり合わせてしきい値を設定し、商談化率を見ながら基準を運用・調整するという4ステップの流れを示すフロー図

まとめ

リードスコアリングは、属性スコアと行動スコアを分け、行動ごとに適切な点数を配分し、営業とすり合わせてしきい値を決めることが基本です。設計後も商談化率を見ながら基準を調整し続けることで、精度を保てます。点数配分の初期設計からしきい値の調整まで、リードスコアリングの設計に迷う場合は、当社へのご相談もご検討ください。

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よくある質問

Q リードスコアリングは何点満点で設計すればいいですか?

A

決まった正解はありません。100点満点にする例が多く見られますが、重要なのは満点の基準ではなく、属性・行動ごとの点数配分と、営業に引き渡すしきい値の妥当性です。

Q 属性スコアと行動スコア、どちらを重視すればいいですか?

A

両方を組み合わせるのが基本です。属性が自社のターゲット像に近くても行動が伴わなければ検討度合いは低く、逆に行動があっても属性が合わなければ受注につながりにくいためです。

Q しきい値はどう決めればいいですか?

A

マーケティング部門だけで決めず、実際に対応する営業部門とすり合わせます。引き渡したリードの商談化率を見ながら、数値を継続的に調整します。

Q スコアリングの基準はどれくらいの頻度で見直せばいいですか?

A

決まった頻度はありませんが、四半期に一度程度、スコアの高いリードが実際に商談化しているかを確認し、必要に応じて基準を調整することをおすすめします。

Q リードスコアリングの設計を相談できますか?

A

評価基準の設計からしきい値の調整まで、顧客育成支援の一環としてご相談いただけます。リードスコアリングの設計に迷う場合は、当社へのご相談もご検討ください。