求人媒体に加えて、自社の採用サイトで仕事や職場の情報を伝えたいと考える企業は少なくありません。「採用サイトに何を載せればよいのか分からない」「どのようなページ構成にすれば応募につながるのか判断できない」「制作会社へ依頼する前に何を用意すればよいのか見えない」という相談を受けています。本記事では、採用サイトの作り方を、役割と求人媒体との違い、応募につながる構成、掲載する情報、制作の進め方、公開後に見る指標、制作会社への確認点の順に解説します。

この記事でわかること
  • 採用サイトの役割と、求人媒体との違い
  • 応募につながる7ページの基本構成
  • 応募者が知りたい順に決める掲載情報と、労働条件の明示
  • 制作の進め方と社内で用意するもの、段階ごとの判断者と進む条件
  • 公開後に見る指標と、制作会社への確認点

求人媒体との違いから考える採用サイトの役割

採用サイトとは、自社の仕事・働く環境・選考の流れを伝え、応募や説明会参加といった行動につなげるために運営する、採用専用のWebサイトです。コーポレートサイトが幅広い読者に向けた情報の入口であるのに対し、採用サイトは「この会社に応募するかどうか」を判断してもらうことに役割を絞ります。

求人媒体との違いが出るのは、情報の置き方と読まれ方です。一般的には次のように役割が分かれます。

比較の軸 求人媒体 自社の採用サイト
主な役割 仕事を探している人との最初の接点をつくる 関心を持った人に、応募を判断する材料を渡す
情報量と表現 媒体の掲載枠や書式に沿って掲載する 文章・写真・動画を自社で設計して掲載できる
読まれる場面 複数の企業を見比べている段階 応募を検討している段階や、応募後の企業研究

どちらか一方を選ぶという関係ではなく、併用するケースが一般的です。求人媒体で出会った人が応募の前に採用サイトを見て判断する流れを前提に、採用サイトは「応募の判断材料を渡す場所」として設計することをおすすめします。労働条件の明示などの募集時のルールは、求人媒体でも自社サイトでも同じです。

応募につながる採用サイトの基本構成

トップページから仕事・働く環境・社員の声・募集要項・選考の流れを経由して、エントリーに至る7ページです。応募者が「何をする会社か」「自分に合うか」「どう応募するか」の順に疑問を解消できる並びにします。各ページの目的と掲載要素は、次の図のとおりです。

採用サイトの基本構成7ページを示す構造図。トップページから仕事紹介、働く環境・制度、社員の声、募集要項、選考の流れ・よくある質問の5ページへ案内し、各ページからエントリーページへ進む導線を表している

ページ数は、職種の数や採用の規模に応じて増減します。職種が1つの場合は、仕事紹介と募集要項を1ページにまとめる構成も採れます。応募ページへの導線は、各ページの末尾と画面上部の固定メニューに置いておくと、応募者が迷いません。当社でも自社サイトで、記事ごとに関連サービスへの導線と記事末のCTAを出し分ける実装にしており、読み終えた場所に合わせて次の行動を示す考え方は採用サイトにも通じます。導線設計はCV率を高めるBtoBサイトの作り方|構成設計の実践ポイントとはもあわせてご覧ください。

応募者が知りたい順に決める採用サイトの掲載情報

基準は、社内で伝えたい内容ではなく、応募者が応募前に知りたい内容です。応募者の疑問を順に解消できるかどうかで、載せる情報を取捨選択します。

応募者が知りたい順に洗い出す

求職者の行動は、認知・理解・比較・応募の4つの段階で捉えると整理しやすくなります。各段階で必要な情報を用意しておけば、次の段階へ進んでもらえます。先にページの枠を決めると枠を埋めるために情報を足しがちなため、疑問の洗い出しを先に行い、そのあとでページ構成に落とし込みます。求職者の行動を段階で捉える考え方は、カスタマージャーニーマップの作り方|実践的なテンプレートと活用事例が参考になります。

求職者の行動を認知、理解、比較、応募の4段階に分け、各段階での疑問、必要な情報、対応する採用サイトのページを整理した多層カード図

応募者の疑問 掲載する情報 載せるページ
どんな会社で、何を目指しているのか 事業内容、ミッション、求める人物像 トップ
入社したら何をするのか 職種別の業務内容、1日の流れ、関わるメンバー 仕事紹介
どんな環境で働くのか 勤務時間、休日、休暇、研修・評価の仕組み 働く環境・制度
どんな人が働いているのか 社員の入社の経緯、現在の役割、仕事への考え方 社員の声
待遇や条件はどうなっているのか 賃金、手当、加入保険、勤務地、雇用形態 募集要項
応募したらどう進むのか 選考ステップ、期間の目安、提出書類、連絡方法 選考の流れ

応募者の疑問は、よくある質問として文章にしておくと、同じ問いを持つ人に届きます。当社は自社サイトで、120本以上のコンテンツ記事すべてにFAQを5問設け、会話形式の問いに対応する見出しを加えています。採用サイトでも、選考の流れのページに質問と回答の形で載せる方法が有効です。選考に生成AIを使う場合の動向は、採用・人事業務のAI活用最前線|2026年に注目したい3つの動向が詳しいです。

社員の声は「仕事の実際」が伝わる内容にする

社員の声は、応募者が職場を具体的に想像できる情報です。入社の経緯、最初に任された仕事、難しいと感じる場面まで聞くと、仕事紹介では伝えにくい実際の姿が見えてきます。社員の写真や氏名を載せる場合は、掲載の範囲を本人に伝えて同意を得ておきます。インタビューの内容を動画にする方法もあります。

募集時に明示が必要な労働条件を確認する

厚生労働省「企業から受ける労働条件明示のルールが変わります!」(2024年4月1日施行の改正に関する資料、2026年10月9日閲覧)によれば、自社のホームページで募集を行う場合も、求人票や募集要項で労働条件を明示することが必要です。項目には、業務内容、契約期間、試用期間、就業場所、就業時間、休憩時間、休日、時間外労働、賃金、加入保険、募集者の氏名または名称などが挙げられます。

同じ資料では、2024年4月1日施行の職業安定法施行規則の改正により、従事する業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準(通算契約期間や更新回数の上限を含む)が追加されたことも示されます。また、募集情報は、掲載した時点を明示するなどして、正確かつ最新の内容に保つ義務があるとされます。当社は自社サイトの記事に、公開日と最終更新日を画面上に表示する仕組みをテーマ側に実装しており、採用サイトでも掲載日と更新日を示すと、募集情報の最新性が示せます。

募集要項は、デザインの見栄えよりも、明示が必要な項目に漏れがなく、内容が最新であることを優先して整えることをおすすめします。具体的な項目の要否は職種や雇用形態によって異なるため、公開前に人事・労務の担当者や社会保険労務士など専門家の確認を受けると安心です。

採用サイトの作り方|手順と社内で用意するもの

目的の整理、情報の洗い出し、構成の確定、素材の準備、制作、公開前の確認の順に進めるのが基本です。

着手前に決めること

当社のWebサイト制作では、デザインに着手する前に、ターゲット・提供価値・ゴールを言語化するところから始めます。採用サイトでは、ターゲットは「どの職種の、どのような経験の人か」、提供価値は「その人にとってこの会社で働く意味は何か」、ゴールは「応募か、説明会参加か」にあたります。ここを先に決めておくと、制作の後半で「誰に向けたページなのか」という議論が起きにくい進め方です。

社内で用意するもの

制作の進行を左右するのは素材の準備です。募集要項の原案(人事・労務の確認を受けたもの)、職種ごとの仕事内容の説明、社員インタビューの対象者と日程、社員やオフィスの写真、選考フローの資料、応募受付後の連絡体制の6つを、制作の初期から並行して進めます。

制作から公開までの工程

工程は、ワイヤーフレーム確認、デザインレビュー、原稿確認、テストアップレビュー、公開の順に進みます。ワイヤーフレームの段階で導線を固めておくと、デザインレビューで構成を崩さずに見た目を整えられ、手戻りを減らせます。特に募集要項と応募フォームは、テストアップ環境で、実際にスマートフォンから応募を完了できるところまで試しておくと安心です。既存のコーポレートサイトの中に採用ページがある場合や、全体の改修と合わせる場合は、Webサイトリニューアルの判断基準|中小企業が知るべきタイミングと費用相場が詳しいです。

公開後に見る採用サイトの指標と改善

最初に見るのは、応募ページへの到達と、応募の完了の2点です。サイト全体のアクセス数だけでは、応募につながっているかが分かりません。

到達が少なければ導線を、到達はあるのに完了が少なければ応募フォームの項目数や入力のしやすさを見直すケースが多いです。フォームは入力フォームの改善方法|BtoBの離脱を減らすEFO施策と項目数の目安もあわせてご覧ください。

見る指標 見ること 見直し先
流入経路 求人媒体、検索、SNS、紹介など、どこから来ているか 媒体・検索からのリンクの飛ばし先
応募ページへの到達 各ページから応募ページへ進んだ人の割合 導線の位置、ボタンの文言
応募の完了 応募ページを開いた人のうち、送信まで進んだ人の割合 フォームの項目数、入力のしやすさ
ページごとの離脱 どのページで読み終えているか そのページに掲載する情報の過不足

当社ではSearch Consoleの検索クエリを月ごとに見て、記事の切り口を決めています。採用サイトでも、検索から訪れた人がどんな言葉で探しているかを月次で見ると、掲載する情報の見直しに使えます。応募数が少ない時期は、件数や割合に加えて、流入経路とページごとの離脱から情報の過不足を見ていく運用が現実的です。GA4での計測設計は、Webサイト改善の効果測定とは|GA4・GSCで確認する5つの指標で確認できます。応募完了を計測できる設定は公開前に行い、公開日から数値を取れる状態にしておくことが、改善のスタートラインです。

制作会社に採用サイトの制作を依頼するときの確認点

採用という目的から逆算して設計できるかが基準です。掲載する情報の整理と導線の設計が、応募の数を左右するためです。

確認する点は次の5つです。1つ目は、ターゲットとゴールの整理から入る提案かどうかです。2つ目は、原稿作成、社員インタビュー、写真撮影の担当範囲です。範囲を先に決めておくと、公開直前の素材不足を防げます。3つ目は、応募ページへの到達と応募完了を計測する設定が制作範囲に含まれているかです。

4つ目は、公開後の更新体制です。募集職種の追加や募集要項の差し替えを、自社で行えるCMSか、制作会社に依頼するかで運用の負担が変わります。5つ目は、労働条件の表示内容の最終確認を自社で行う点の共通認識です。見積もりの内訳は、Web制作会社の選び方とは|見積もりで必ず確認すべき5つの内訳ポイントでも確認できます。

採用サイト制作の6段階と、次の段階へ進む条件

ここまでの内容を実行順に並べ直し、各段階で誰が判断し、何がそろえば次へ進めるかを整理します。

順番 やること 判断する人 次へ進む条件
1. 目的の整理 ターゲット・提供価値・ゴールを決める 経営者と採用責任者 「誰に・何を伝えて・どの行動につなげるか」を1文で言える
2. 掲載情報の洗い出し 応募者の疑問を並べ、答える情報を決める 人事と現場の責任者 疑問ごとに、掲載する情報と回答できる担当者が決まっている
3. 構成の確定と制作会社の選定 7ページの構成と、制作会社との担当範囲を決める 採用責任者 すべての疑問がいずれかのページに割り当たり、原稿・撮影・計測・更新の担当範囲が文書になっている
4. 募集要項と素材の準備 募集要項、社員インタビュー、写真を用意する 人事・労務(専門家の確認を含む) 明示が必要な項目に漏れがなく、掲載する本人の同意を得ている
5. 制作とテスト ワイヤーフレームからテストアップまで進める 人事と制作会社 スマートフォンから応募を完了でき、応募ページへの到達と応募完了が計測できる
6. 公開と月次の改善 指標を見て、掲載する情報と導線を見直す 人事 公開日から数値を取れている

注意点は3つあります。1つ目は、順番を入れ替えないことです。デザインや写真の方向性を先に決めると、誰に向けたページかが固まらないまま、制作の後半で議論が戻ります。2つ目は、募集要項の確認を最後に回さない点です。公開直前に項目の漏れが見つかると、公開日がずれ込みます。3つ目は、制作会社に任せる範囲と自社で判断する範囲を分けることです。労働条件の表示内容の最終確認は、制作会社ではなく自社で行います。

設計から公開後の改善まで一貫して任せたい場合は、当社のWebサイト制作・運用で対応可能です。

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よくある質問

Q 採用サイトの作り方は、何から始めればよいですか?

A

最初に「誰に・何を伝えて・どの行動(応募・説明会参加)につなげるか」を決めます。そのうえで応募者が知りたい情報を洗い出し、ページ構成、素材の準備、制作の順に進めます。デザインの検討は、この3点が決まってからでも遅くありません。

Q 採用サイトにはどんな情報を載せればよいですか?

A

仕事の内容、働く環境、社員の声、待遇や労働条件、選考の流れが基本です。応募者が応募前に知りたい順に洗い出し、募集要項には厚生労働省が示している明示事項を漏れなく載せ、内容は掲載後も最新の状態に保ちます。

Q 採用サイトと求人媒体の違いは何ですか?

A

求人媒体は仕事を探している人との最初の接点をつくる入口で、採用サイトは関心を持った人が応募を判断する材料を読み込む場所です。併用が一般的で、労働条件の明示などの募集時のルールは、どちらでも同じように求められます。

Q 採用サイトの基本構成は何ページ必要ですか?

A

基本構成は、トップ、仕事紹介、働く環境・制度、社員の声、募集要項、選考の流れ・よくある質問、エントリーの7ページです。職種が少ない場合は統合してもよく、応募への導線だけは残します。導線設計はCV率を高めるBtoBサイトの作り方|構成設計の実践ポイントとはも参考になります。

Q 採用サイトの制作を相談することはできますか?

A

ターゲットとゴールの整理、掲載する情報の洗い出し、構成設計から、公開後の応募状況の確認まで、一連の流れでご相談いただけます。採用サイトの作り方や制作の進め方については、当社へのご相談もご検討ください。